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1つの品物を完成させるには、数十もの工程を要します。 少しずつ、品物が出来上がっていく様子は、 ドラマを見ているかのようです。
堀口切子の作業場
江戸切子は、基本的に1点1点完成させるのではなく、ある程度の数(約12〜36)を工程ごとに流して作業を進めていきます。製作工程の手順をご紹介します。
ガラスをカットする道具が、ダイヤモンドホイール。径の大きさや幅の広さ、山の角度によって数百種類あり、品物に合わせて使い分けます。
仕上がりの品物の形を重要な過程が口摺り。この作業にブレがあると、最終的な削りで帳尻が合わなくなってしまいます。加工基準に仕上がっているかを厳密に確かめます。
品物の完成へと導く道しるべが、割り出し。カットの目安となる等分線などを書き込みます。まったく同じデザインの品物でも職人によってこの割り出しが異なる場合もあります。
江戸切子の工程で最も困難とされ、一番腕のいい親方の仕事とされてきました。文様の軸となる大きなラインを削ります。寸部の狂いも許されない、緊張感溢れる工程です。
カットした生地に磨きをかけ、ガラス本来の艶を出します。液体を使って溶解させる磨き方法と、研磨していく方法の2種類があります。素材の違いや仕上がりの風合い、デザインなどによって、適した方法が異なります。
磨き方法1.液体で溶かして磨く。酸を使い、その日の気温・湿度、液体の温度や使った回数、品物の状況に応じながら磨き上げます。高品質なクリスタルガラスのみに使える方法で、カット面のシャープな印象がより精度高く保たれます
500〜600番手の粒子の細かいダイヤモンドホイールを使用し、カット肌を滑らかにします。
フッ酸と硫酸などの混合液に浸して、酸の腐食によって研磨を施します。
磨き方法2.研磨して磨く。長い時間をかけて1点1点手作業で研磨する昔ながらの方法。
石の円盤を回転させ、カット面を手で丁寧に滑らかにしていくという念の入る作業。手磨きでは「粗摺り」以上に大切な工程です。
艶粉(研磨剤)を水で溶いたものをつけながら、摩擦熱を利用して、ガラスに艶を出します。
木盤で研磨しきれない細かい目や線は、ブラシ盤に研磨剤をつけて、さらに磨きをかけます。
仕上げです。美しく輝かせるために、ウールのフェルトでより細かい研磨剤をつけ磨きあげます。